こんばぶら。ブログはじめました。
長く続けられればなにかしらになるだろうと思っております。
色々悩んでも仕方ないので、書き出しは思い出深い作品、ムーンパレスの事から始めてみようと今に至ります。
出会いは上京してすぐ、下北のヴィレヴァン本店でした。
その頃のヴィレヴァンは店舗展開しているイメージが無かったので本店しか無い頃かも知れません。
戸惑いがちに最初に扉をくぐった時の衝撃は今でも覚えております。
店内に縦横無尽に積み立てられた雑多の山
爆音で響く小島麻由美とマイルスデイビス
そこにあることで全てこじらせた物に見える世界
そしてその奥へ奥へと進むと一際高く平積みされていたのが本作でした。
上京して期待を膨らませていた若者が厨二になった瞬間です。
もちろん、それまでも厨二としての素養はあったと思います。
しかし本来のポテンシャルを発揮できていたとは言えず、たまにうずまきについての詩を書くぐらいしか出来ずに持て余していました。
本作を手にとって始めて私は厨二という熱狂に身を委ねることが出来たと言っていいと思います。
やがてスタバでエスプレッソダブルを飲みながら、何も開いていないようで開いていないMacをテーブルに開いてから本を読みだす二段活用をしたり
地面に着きそうなストールを首に巻きながら、永遠に矢野顕子の流れるカフェでエスプレッソダブルを飲んでみたり
全ての行動原理はここから始まりました。
本作を身も蓋もない説明で表すとニューヨークを舞台にしたノルウェイの森です。
村上作品はクラシックを口笛でさえずりながらパスタを茹でるという、邪眼が開眼しなければ出来ないようなことを、こともなげにする危険さが我々の琴線を揺るがすのであり
ムーンパレスの作者ポールオースターは、1969年人類が初めて月を歩いたというエモさ、それはウッドストックであり、それはベトナムでありながらも、ムーンパレス、ノルウェイどちらの作品でもフランスの五月革命や学生運動とは乖離した、冷めた目で世界に身を置く主人公達を描くところに厨二心は爆上がりなのです。
それは人類がはじめて月を歩いた夏だった。そのころ僕はひどく若かったが、未来というものが自分にあると思えなかった。僕は危険な生き方をしてみたかった。とことん行けるところまで自分を追いつめていって、行きついた先で何が起きるのか見てみたかった。
ムーン・パレス冒頭より
もちろん主人公となるマーコはワタナベでは無いし、キティーウーは直子ではない。
ただ果たして作品に影響を受けて、両腕に包帯を巻いて二学期にデビューするような感覚におちいることが出来る小説がいくつあるだろうか
さらなる本書の厨二ポイントしてはニコラ・テスラの登場だ
もちろんニコラ社の元ネタになった不遇の天才
GE(エジソン)とテスラが現代においても競合しているエモさは本書を見るとより理解が深まるので、若い子にきゅんきゅん言わしたい時のエピソードトークとして最適解になるだろう
年寄りの武勇伝はいつの時代でも公共でも、プライベートならなおさら聞きたく無いストーリーのナンバーワンだ
全く興味のない人物の歴史をモジモジしながら遠い目で語られるその苦痛はこの世の何よりも耐え難い
いつからかネガティブでマウントして、何もない自分を肥大化させようとするのか
失敗に対して寛容でないことを他者にも強要するようになるのか
それは惣流・アスカ・ラングレー、それはシドヴィシャス
それは白州次郎であり、それはリヴァイ兵長
我々の厨二神は、その最後まで厨二神であり続けた
とりあえずMacBook Airを購入した
いつしか形骸化していった厨二性を取り戻す闘いを始めようと思う
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